金融

「通帳、しばらく見てない…」記帳しないと、実はこんなに困るって本当?

キャッシュレス時代だからこそ、つい忘れがちな通帳記帳。でも、その「まあいいか」が、後で思わぬ手間やリスクに繋がることも。一体何が起きるのか、分かりやすく解説します。

電卓、現金、そして家計簿が置かれた机の上
お金の流れを把握する小さな習慣が、未来の自分を助けてくれるんですよね。Source: Karola G / pexels

こんにちは。最近、銀行の預金通帳を手に取ったのはいつですか?スマホ決済やクレジットカードが当たり前になり、現金を引き出す機会もめっきり減った今、「そういえば、もう何ヶ月も記帳していないかも…」なんて方も、実は少なくないのではないでしょうか。

私自身、少し前までは完全にその一人でした。アプリで残高は確認できるし、特に困ることもない。そんな風に考えていたんです。でも、ある時ふと「記帳しないと、実際のところどうなるんだろう?」と気になって調べてみたら、意外と知られていないデメリットやリスクがあることを知りました。今回は、そんな「通帳を記帳しない」ことで起こりうる、ちょっと怖いお話を皆さんと共有したいと思います。

気づいたら明細が「おまとめ」に!恐怖の合算記帳とは?

長期間にわたって通帳記帳をしないでいると、まず最初に訪れるのが「合算記帳(がっさんきちょう)」や「おまとめ記帳」と呼ばれる現象です。これは、未記帳の取引が一定の件数や期間を超えた場合に、銀行側がそれらの明細を一つにまとめて印字してしまう仕組みのこと。例えば、「未記帳分合算」や「おまとめ」といったたった一行で、数ヶ月分の取引が片付けられてしまうんです。

この条件は金融機関によって様々ですが、例えば「未記帳の取引が100件を超えた場合」や「年に2回、特定の月にまとめて処理される」といったケースが一般的です。私も以前、育児で忙しく銀行になかなか行けなかった時期があり、久しぶりに記帳したら数ヶ月分の給与振込や引き落としが「合算」とだけ印字されていて、一瞬何が起きたのか分からず、血の気が引いた経験があります。

この合算記帳の何が一番困るかというと、個々の取引の詳細が全く分からなくなってしまう点です。「いつ、どこから、いくら振り込まれたのか」「何月何日に、何の料金が引き落とされたのか」といった情報が通帳から読み取れなくなるため、家計の管理が非常に難しくなります。特に個人事業主の方や、経費精算などで明細が必要な方にとっては、死活問題にもなりかねません。

もちろん、合算されてしまった場合でも、銀行の窓口にお願いすれば、取引の明細を別途発行してもらうことは可能です。しかし、そのためには本人確認書類を持って平日の営業時間内に窓口へ行く必要があり、場合によっては発行手数料がかかることも。普段からこまめに記帳さえしていれば、こんな手間はかからなかったのに…と後悔することになりかねません。

お金の流れが見えない、という静かなリスク

通帳は、単なる残高の記録ではありません。私たちのお金の出入りを時系列で示してくれる、いわば「お金の健康診断書」のようなものです。記帳をしないということは、その診断書が白紙のまま放置されているのと同じ状態。これは、私たちが思っている以上に大きなリスクをはらんでいます。

一つは、不正利用や誤った請求に気づきにくくなることです。もし身に覚えのない引き落としがあったとしても、通帳を定期的にチェックしていなければ、その発見が大幅に遅れてしまいます。不正利用は、早期に発見し、銀行やカード会社に連絡することが被害を最小限に食い止める鍵。その初動が遅れる可能性があるのは、非常に怖いですよね。

また、自分自身の資産状況を正確に把握できなくなるというデメリットもあります。「今月は何に一番お金を使ったんだろう?」「思ったより貯金が増えていないのはなぜ?」といった疑問も、詳細な入出金の記録がなければ分析のしようがありません。将来のために貯蓄計画を立てたり、家計の無駄を見直したりする上でも、通帳の記録は非常に価値のあるデータとなるのです。

さらに、住宅ローンを組む際や、子どもの奨学金の申請、あるいは確定申告など、公的な手続きの場面で収入や資産の証明として通帳のコピーを求められることがあります。その際に、取引明細が「合算」だらけだったらどうでしょう。手続きがスムーズに進まないばかりか、場合によっては審査に影響が出てしまう可能性も否定できません。

10年放置で「休眠預金」に?忘れた頃にやってくる問題

記帳をしないことによる問題は、家計管理だけに留まりません。長期間、入出金などの取引が全くない口座は、「休眠預金」として扱われる可能性があります。これは「休眠預金等活用法」という法律に基づくもので、10年以上取引のない預金は、預金保険機構に移管され、民間の公益活動に活用されるという制度です。

もちろん、休眠預金になったからといって、あなたのお金が没収されてしまうわけではありません。いつでも引き出す権利はあります。しかし、引き出すためには銀行の窓口で少々面倒な手続きが必要になり、時間もかかります。そもそも、自分の知らない間に大切なお金が別の場所に移管されてしまうというのは、あまり気分の良いものではありませんよね。

「記帳さえしていれば大丈夫」と思いがちですが、金融機関によっては、記帳だけでは「取引」と見なされないケースもあるため注意が必要です。休眠預金化を防ぐ最も確実な方法は、やはり定期的にATMなどで少額でも入出金を行い、口座が動いていることを記録として残すこと。そして、その確認のためにも、定期的な記帳が役立つのです。

これからの時代、通帳とどう付き合う?

ここまで読んで、「やっぱり紙の通帳は面倒だ…」と感じた方もいるかもしれません。実際、最近では多くの銀行が、環境への配慮やコスト削減の観点から、紙の通帳を発行しない「Web通帳」や「インターネット通帳」への切り替えを推奨しています。

Web通帳であれば、スマホやパソコンから24時間いつでも、過去の明細を長期間にわたって確認することができます。これなら、記帳のためにATMに並ぶ必要もありませんし、合算記帳の心配もありません。紛失や盗難のリスクが低いというメリットもあります。

もちろん、紙の通帳には「手元に形として残る安心感」や「デジタルが苦手な世代でも分かりやすい」といった良さもあります。どちらが良いというわけではなく、ご自身のライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。もし、あなたが「記帳をつい忘れてしまう」「銀行に行くのが面倒」と感じているなら、この機会にWeb通帳への切り替えを検討してみるのも、賢い選択かもしれません。

お金の管理は、少し面倒に感じることもありますが、自分の生活と未来を守るための大切な行為です。この記事が、皆さんの通帳との付き合い方を見直す、小さなきっかけとなれば嬉しく思います。

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