【香川県】うどんだけじゃない！絶対に食べたい名物グルメとおすすめ店

香川県と聞くと、多くの人が「うどん県」というキャッチフレーズを思い浮かべるのではないでしょうか。かくいう私も、初めて香川を訪れる前は「一日三食うどんも夢じゃない！」なんて意気込んで、ひたすらうどん屋さんをリストアップしていました。もちろん、その期待は裏切られることなく、本場の讃岐うどんのコシと風味には心の底から感動したのですが、旅を終えてみて思うのは、「香川の魅力は、うどんだけじゃなかったな」ということ。

正直なところ、香川の食文化の奥深さを少し見くびっていたかもしれません。うどん屋さんの隣で香ばしい匂いを漂わせる骨付鳥のお店、瀬戸内海のきらめきを映したような新鮮な魚介類。そこには、うどんという絶対的なエースの影に隠れがちながらも、地元の人々に深く愛され、日々の食卓を彩る素晴らしいグルメたちが確かに存在していました。

今回の記事では、そんな私の個人的な体験も交えながら、王道の讃岐うどんの名店はもちろん、香川に来たら絶対に食べてほしい「うどん以外の」名物グルメを、熱意を込めてご紹介したいと思います。この記事が、あなたの香川旅行を、もっと味わい深いものにするための、ささやかなスパイスになれば嬉しいです。

やはり王道！讃岐うどんの奥深き世界へようこそ

香川に来て、讃岐うどんを食べないなんて選択肢はありませんよね。でも、一口に「讃岐うどん」と言っても、その世界は想像以上に広く、深いんです。お店によって麺のコシや太さ、出汁の風味、そして天ぷらの種類まで、一つとして同じものはないと言っても過言ではありません。セルフ形式のお店で、地元の人に混じってネギや天かすをトッピングするのも、旅の醍醐味の一つです。

私が特に心を掴まれたのは、釜から揚げたての麺に直接、生卵とだし醤油を絡めていただく「釜玉うどん」。シンプルだからこそ、麺そのものの小麦の香りや、もちもちとした力強い食感をダイレクトに感じることができます。山間の名店「山越うどん」で食べた釜玉は、カルボナーラのような濃厚さがありながら、後味はさっぱり。夢中で麺をすすったのを覚えています。

もちろん、温かいかけ出汁でいただく「かけうどん」も外せません。いりこ（煮干し）の風味が効いた黄金色の出汁は、それだけでご馳走。行列の絶えない「がもううどん」の、少し柔らかめながらもしっかりとコシのある麺と、優しい出汁の組み合わせは、毎日でも食べたいと思えるほどの安心感がありました。うどん巡りは、まさに自分好みの一杯を探す宝探しのような体験。ぜひ、色々なお店を巡って、あなただけのお気に入りを見つけてみてください。

香ばしさにノックアウト！骨付鳥にかぶりつけ

うどんと並ぶ、いや、人によってはそれ以上の存在感を放つ香川のソウルフードが「骨付鳥（ほねつきどり）」です。骨付きの鶏もも肉を、ニンニクやコショウなど、店ごとに違う秘伝のスパイスで味付けし、オーブン窯でじっくりと焼き上げたもの。そのスパイシーで香ばしい匂いが漂ってきたら、もう抗うことはできません。

骨付鳥には、歯ごたえがあって噛むほどに旨味があふれる「おやどり」と、皮はパリパリ、身はふっくらジューシーな「ひなどり」の2種類があります。通は「おや」を好むなんて言われたりもしますが、これはもう好みの問題。個人的には、柔らかくて食べやすい「ひな」から試してみるのがおすすめです。そして、お皿に残った黄金色の鶏油（チーユ）に、付け合わせのキャベツや、塩むすびを浸して食べるのが最高のお作法。この〆まで含めて、骨付鳥という一つの完成された料理なんです。

この骨付鳥の二大巨頭といえば、丸亀市発祥の「一鶴（いっかく）」と、高松市で人気の「寄鳥味鳥（よりどりみどり）」。どちらも甲乙つけがたい名店ですが、「一鶴」はスパイシーでパンチの効いた味わい、「寄鳥味鳥」はもう少しマイルドで食べやすい印象です。熱々の骨付鳥を豪快に手でつかみ、ビールを流し込む。これぞ香川の夜の最高の過ごし方かもしれません。

瀬戸内の恵みをいただく、新鮮魚介とオリーブ牛

四方を海に囲まれているわけではないですが、香川は瀬戸内海に面しており、新鮮な魚介類の宝庫でもあります。特に、県魚にもなっているハマチは絶品。中でも、オリーブの葉の粉末をエサに加えて育てたブランドハマチ「オリーブハマチ」は、身が引き締まり、脂がさっぱりとしていて、いくらでも食べられてしまう美味しさです。旬の秋には、ぜひ刺身でその味を確かめてみてください。

また、忘れてはならないのが、香川県が誇るブランド牛「オリーブ牛」。オリーブオイル搾油後の果実を飼料として育った讃岐牛で、その肉質は驚くほど柔らかく、口に入れると上質な脂がとろけていきます。ステーキでガツンと肉の旨味を味わうのも良いですし、すき焼きや焼肉で楽しむのもまた格別。うどんや骨付鳥といったB級グルメのイメージが強いかもしれませんが、こうした一級品の食材に出会えるのも、香川の食の懐の深さだと思います。

高松の市街地には、新鮮な魚介を味わえる居酒屋や、オリーブ牛をリーズナブルに提供してくれる焼肉店もたくさんあります。うどん巡りでお腹を空かせた後は、夜は少し贅沢に、瀬戸内と香川の大地が育んだ恵みを、地酒と共にゆっくりと味わう。そんな食のプランも、きっと素敵な旅の思い出になるはずです。

香川の食の旅は、知れば知るほど奥深く、一度訪れただけでは到底味わい尽くせません。次に訪れる時は、どんな美味しいものに出会えるだろう。そんな風に、またすぐにでも帰りたくなるような、温かい魅力に満ちています。この食の宝庫で、あなたの心とお腹が満たされる、最高の旅ができますように。