猫が正月飾りにいたずらする時の対策 安全な飾り方とは

新しい年を迎える準備は、なんだか心が弾みますよね。きれいに掃除された部屋に、新しい年の神様をお迎えするための正月飾りを飾ると、空気がすっと澄み渡るような、清々しい気持ちになります。でも、私たち猫と暮らす者にとっては、この時期、ちょっとした悩みの種が生まれることも。そう、愛する猫たちの「いたずら」です。

キラキラと輝く水引、ゆらゆら揺れるしめ縄、普段は見慣れない植物。猫たちの目には、これらすべてが最高に魅力的なおもちゃに映るのかもしれません。「あ、新しいおもちゃだ！」と目を輝かせて飛びついていく姿は、もちろん可愛いんです。でも、その無邪気ないたずらが、思わぬ事故につながってしまう可能性もゼロではありません。この記事では、猫を愛する皆さんが、安心して素敵な新年を迎えられるように、安全な正月飾りの選び方から飾り方の工夫まで、具体的な対策を詳しくご紹介します。

なぜ猫は正月飾りが好きなの？

そもそも、どうして猫たちはあんなに正月飾りに夢中になるのでしょうか。その理由は、彼らが持つ「狩猟本能」に隠されています。猫の祖先は、獲物を捕らえて生きてきたハンター。その血は、現代の家猫たちにも脈々と受け継がれています。

正月飾りに使われる多くの素材が、猫の狩猟本能をくすぐる要素で満ち溢れているんです。例えば、しめ縄や水引から垂れ下がる細い紐や、カシャカシャと音を立てるビニール製の飾り。これらは、猫にとって小動物の尻尾や羽の動きを連想させ、「捕まえたい！」という強い衝動を引き起こします。また、鏡餅の周りに飾られる橙（だいだい）のような球体も、転がして遊びたい格好のターゲット。彼らにとっては、飼い主が用意してくれた壮大なアスレチックジムのように見えているのかもしれませんね。

ちょっと待って！猫にとって危険な正月飾り

楽しいはずのお正月が、悲しい事故のきっかけになってしまっては元も子もありません。残念ながら、伝統的な正月飾りの中には、猫にとって非常に危険なものが含まれています。飾る前に、何が危険なのかをしっかり理解しておくことが大切です。

まず最も注意したいのが「誤飲」の危険があるものです。しめ縄や輪飾りに使われている小さな飾りや、ビニール製の紐、水引などは、猫が噛みちぎって飲み込んでしまう可能性があります。これらが消化管に詰まると腸閉塞を引き起こし、命に関わる事態になりかねません。特に紐状のものは、腸がたぐり寄せられて壊死してしまう「線状異物」という、非常に危険な状態を引き起こすことがあります。

植物にも注意が必要です。お正月に飾られる松、竹、梅のうち、特に松の葉は、猫が食べてしまうと嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。また、千両や万両、南天の赤い実も、猫にとっては有毒です。そして、冬の飾りとして人気のユリ科の植物は、猫にとって猛毒。花瓶の水を舐めただけでも、急性腎不全を引き起こすことがあるため、絶対に猫のいる部屋には飾らないでください。美しいものには毒がある、というのは、猫の世界でも同じなのですね。

猫と安全に新年を祝うための飾り選び

では、猫がいても安心してお正月気分を味わうには、どんな飾りを選べば良いのでしょうか。ポイントは「素材」と「形状」です。ガラスや陶器でできた鏡餅の置物などは、落として割れると猫が破片で怪我をする恐れがあります。木製や布製、樹脂製など、割れにくい素材のものを選ぶと安心です。

最近では、猫をモチーフにした可愛らしい正月飾りもたくさん販売されています。フェルトでできた鏡餅や、猫の形をしたしめ縄など、遊び心のあるアイテムを取り入れるのも楽しいですね。そういった飾りを選ぶ際は、小さな部品が接着剤でついているだけのものは避け、しっかりと縫い付けられているか、または一体成型になっているかを確認しましょう。

飾り方の工夫も重要です。猫が届かない高い場所に飾るのが基本ですが、それが難しい場合は、飾り全体をアクリルケースに入れるという方法もあります。これなら、猫は飾りを見ることができますが、直接触れることはできません。少しの工夫で、猫の安全と美しい飾り付けの両方を実現することは可能なのです。

最終防衛ライン！いたずらされないための設置の工夫

安全な飾りを選んでも、猫たちの好奇心は尽きることがありません。そこで重要になるのが、いたずらを防ぐための「設置の工夫」です。猫は、足場が不安定な場所や、狭い場所を嫌う傾向があります。飾る棚の上に、猫が嫌がるトゲトゲのシート（100円ショップなどで手に入ります）を置いたり、両面テープを貼ってベタベタさせたりするのも効果的です。

また、猫が嫌う柑橘系の香りを利用するのも一つの手です。飾りの周りに、レモンやオレンジの皮を置いておいたり、柑橘系の香りのスプレー（猫に無害なものを選びましょう）を軽く吹きかけておくと、猫が近寄りにくくなります。ただし、香りの効果は個体差が大きいので、様子を見ながら試してみてください。

最終手段として、猫がどうしてもいたずらしてしまう飾りは、飼い主さんが見ている間だけ出して、外出時や就寝時は片付けてしまうという方法もあります。少し手間はかかりますが、愛猫の安全には代えられません。年末年始は動物病院が休診になることも多いので、万が一の事態に備え、救急対応してくれる病院の連絡先を事前に確認しておくと、さらに安心ですね。

新しい一年が、あなたにとっても、そして愛する猫ちゃんにとっても、健やかで幸せなものでありますように。少しの工夫と愛情で、みんなが笑顔で過ごせる素敵なお正月を迎えてくださいね。