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茶室の静寂をスイーツに。茶道で使う濃厚抹茶の本格レシピ

いつもの抹茶スイーツに物足りなさを感じていませんか?茶道で使われるような上質な抹茶を使えば、驚くほど香り高く、濃厚な味わいの本格スイーツが自宅で楽しめます。

白いお皿に乗せられた、美しい緑色の層が印象的な抹茶のティラミス
一口ごとに、静かな茶室にいるような、穏やかで豊かな時間が流れます。Source: Hanxiao Xu / unsplash

最近、ふとした瞬間に「本当に美味しい抹茶スイーツが食べたいな」と思うことが増えました。コンビニやカフェで手軽に楽しめる抹茶味も良いけれど、時々、心が震えるような、あの深く、濃い、本物の抹茶の味を堪能したくなるんです。まるで、静かな茶室で丁寧に点てられた一服のお茶をいただくような、そんな特別な体験。

調べてみると、その秘密はやはり「抹茶」そのものにあるようです。特に茶道で使われるような上質な抹茶は、色、香り、そして味わいの深さが全く違うのだとか。その抹茶が持つポテンシャルを最大限に引き出すことができれば、いつものお菓子作りが、まるで芸術作品を生み出すような、創造的で楽しい時間に変わるかもしれません。

今日は、そんな茶道の世界に少しだけ触れながら、自宅で本格的な濃厚抹茶スイーツを作るためのレシピと、そのコツについて、少しだけお話しさせてください。

なぜ「茶道用の抹茶」は特別なのか?

そもそも、私たちが普段「抹茶」と呼んでいるものには、様々なグレードがあることをご存知でしたか?大きく分けると、お茶として点てて飲むための「飲用」と、お菓子や料理に使うための「製菓用」があります。

製菓用の抹茶も手軽で素晴らしいのですが、茶道で使われるような飲用の抹茶は、一番茶(その年で最初に収穫される新芽)の中でも、特に品質の良い茶葉だけを厳選して作られています。日光を遮って育てる「覆下栽培」という手間のかかる方法で栽培されるため、旨味成分であるテアニンが豊富に含まれ、渋みが少なく、まろやかで深い味わいが生まれるのです。

黒い茶碗の中に抹茶の粉と茶筅が置かれている様子
この鮮やかな緑色こそが、上質な抹茶の証。豊かな香りが漂ってくるようです。Source: mirkostoedter / pixabay

この「本物」の抹茶をスイーツに使うことで、ただ緑色で抹茶の香りがする、というレベルではなく、味の奥行き、香りの高さ、そして食べた後に残る心地よい余韻が、格段に変わってきます。一口食べれば、その違いにきっと驚くはずです。

大人のための「濃厚抹茶ティラミス」

では早速、その特別な抹茶を使った、とっておきのレシピをご紹介します。イタリアンの定番デザートであるティラミスを、和の心でアレンジした「濃厚抹茶ティラミス」です。マスカルポーネチーズのコクと、濃厚な抹茶のほろ苦さが絶妙にマッチした、少し大人の味わいです。

材料(作りやすい分量)

  • マスカルポーネチーズ:200g
  • 卵黄:2個分
  • グラニュー糖:50g
  • 生クリーム:150ml
  • 茶道用の抹茶:大さじ2(濃いめが好きな方は増やしてもOK)
  • お湯:大さじ3
  • サヴォイアルディ(またはフィンガービスケット):10本程度
  • 仕上げ用の抹茶(泣かない抹茶):適量

作り方

  1. まず、抹茶シロップを作ります。抹茶を茶こしでふるいながら小さな器に入れ、グラニュー糖(分量外・小さじ1程度)を加えて混ぜ合わせます。そこにお湯を少しずつ注ぎ、ダマにならないように丁寧に溶きのばします。こうすることで、抹茶の美しい色と香りが引き立ちます。
  2. ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れ、白っぽくもったりとするまで泡立て器でよくすり混ぜます。
  3. 別のボウルでマスカルポーネチーズを滑らかになるまで混ぜ、2のボウルに加えて均一になるまで混ぜ合わせます。
  4. 生クリームを8分立て(ツノが立つ少し手前)に泡立て、3のボウルに数回に分けて加え、ゴムベラでさっくりと混ぜ合わせます。これでティラミスクリームの完成です。
  5. 1で作った抹茶シロップに、サヴォイアルディをさっと浸します。浸しすぎると崩れやすくなるので、両面に軽く染み込ませる程度で大丈夫です。
  6. 器の底に抹茶シロップを浸したサヴォイアルディを敷き詰め、その上にティラミスクリームの半量を流し入れます。
  7. 残りのサヴォイアルディとティラミスクリームを同様に重ね、表面を平らにならします。
  8. 冷蔵庫で最低でも3〜4時間、できれば一晩冷やし固めます。
  9. 食べる直前に、茶こしで仕上げ用の抹茶をたっぷりと振りかければ、完成です。

このレシピのポイントは、やはり抹茶を丁寧に溶いてシロップにすること。そして、クリームと合わせる時も混ぜすぎず、ふんわりとした食感を残すことです。少し手間はかかりますが、その分、完成した時の感動はひとしおですよ。

もっと手軽に楽しむ「抹茶アフォガート」

「ティラミスは少しハードルが高いな」と感じる方には、もっとシンプルに抹茶の美味しさを堪能できる「抹茶アフォガート」がおすすめです。バニラアイスに、濃く点てた抹茶をかけるだけの、とても簡単なデザート。

ガラスの器に入ったバニラアイスに、濃い緑色の抹茶がかけられている
温かい抹茶と冷たいアイスクリーム。その温度差と味のコントラストがたまりません。Source: thaoantran0101 / pixabay

上質な抹茶(小さじ1〜2)を茶碗に入れ、少量のお湯(70〜80℃)を注ぎ、茶筅で「の」の字を書くように素早く、そしてきめ細やかな泡が立つまで点てます。あとは、お気に入りのバニラアイスクリームにかけていただくだけ。

バニラの濃厚な甘さと、抹茶のキリッとした苦味と香りが口の中で溶け合い、驚くほど洗練されたデザートに早変わりします。食後のデザートにはもちろん、少し疲れた午後の休憩にもぴったりです。

忙しい毎日の中で、ほんの少しだけ立ち止まり、丁寧に何かを作る時間を持つことは、心を豊かにしてくれます。それが、こんなにも香り高く、美味しいスイーツなら、なおさらですよね。

今回ご紹介したレシピが、皆さんの日常に、ささやかでも上質で、静かな喜びのひとときをもたらすきっかけになれば、とても嬉しく思います。ぜひ、お気に入りの抹茶を見つけて、あなただけの特別なスイーツ作りを楽しんでみてください。

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